コロナ禍での生活様式の変化をはじめ、「時代が、ガラッと変わってきている」と感じる人は多いのではないでしょうか?
そんな時代の変わり目では、今までの常識にとらわれず、いかに軽やかに進めるかがカギになってきます。
村田沙耶香さんの本は、いい意味でかなりぶっ飛んでいて、自分の中の常識や固定観念といったものをふっとばしてくれるパワーがあります。
自分の信じていた常識がじわじわ壊れていくのは恐ろしくもありますが、一方で、ものすごい快感でもあります。
今回は、そんな刺激的な読書体験ができる村田沙耶香作品を、私的『常識が崩壊するレベル』別にご紹介します。
常識崩壊レベル ☆
きれいなシワの作り方
『大人の思春期病』をテーマにしたエッセイ集。
村田さんが30代前半の時の、体と環境の変化に揺れる心が赤裸々に綴られています。
ちゃんとした”アラサー女性”にならなくてはと奮闘する姿が面白いです。
アラサー女子は、あるある~と共感することも多い内容なので、まだまだ常識崩壊レベルは低めです。
ananに連載していたエッセイをまとめたものなので、美容やファッションなど女子っぽいネタが多いです。
しかし、序盤はあるある~と読み進めていっても終盤にかけて、「そんな経験はしたことないよ~ホントに?」というエピソードがちょこちょこあり、気付いたら村田ワールドに迷いこんでしまう一冊です。
となりの脳世界
こちらもエッセイ集なので、まだまだ常識崩壊レベルは低め。
きれいなシワの作り方は、美容やファッションなどアラサー女子向けエッセイが主なのに対し、となりの脳世界は、村田さんの幼少期、学生時代のネタもたくさん載っています。
私のおすすめは、「走らせている人たち」のエピソード。
こんなこと考えてる人いるの~?と頭に?を何個も付けながら読みましたが、よくよく思い出してみたら、私も「走らせている人」の一人でした。
何の話だい?と思った方はぜひとも読んで欲しいです。
実はあなたも「走らせている人」かもしれませんから。
常識崩壊レベル ☆☆
コンビニ人間
第155回芥川賞受賞作。
就職せずにコンビニバイト歴18年、彼氏なしの36歳女子。
幼少期から一般的な考えからは外れた思考をもっていたため、世の中の”普通”を学習しながら生きている主人公のお話です。
とても有名な作品なので、私が今さら語れることは何もないのですが、読めば世の中いろいろな人がいるなぁ~と視野が広がると思います。
日常の会話で「普通、○○だよね~。」と軽々しく言っていた過去の自分がコワくなる一冊です。
生命式
『文学史上、最も危険な短編集』という帯がついた作品です。
表題作の生命式から、ぶっとんでいます。
世にも奇妙な物語的な、ありえない設定の上で展開していくお話が好きな人はハマるんじゃないかなと思います。
ただ、人によっては気持ち悪くて受け付けないと感じるような描写があるので、とりあえずお腹いっぱいの時には読み始めない方が良いです。
タブー視されていることとか、嫌悪感があることとか、蓋をして見ないようにしていた領域にメスを入れてくるようなお話ばかりなので続けて読むとグッタリします。
しかし、「なんで私はこれに嫌悪感を感じるんだろう?」と自問自答することにより、常識とか慣習によって作り上げられていた見方がベリっと剥がされるので、不思議な爽快感も得られます。
常識崩壊レベル ☆☆☆
地球星人
主人公は、「ポハピピンポボピア星」から来た、ぬいぐるみのピュートの指令で地球を守っている。自分はそんな特別な魔法少女であると信じて生きている小学生。
物語は、そんな少し浮世離れした女の子が、お盆に長野のおばあちゃんの家に行くところから始まります。
しかし、読み進めていくにつれ、こんな平和な物語の入り方と、この可愛い装丁からは想像できないくらいの狂気に触れられる作品です。
私の場合まったく前情報なしの状態で読んだので、ラストは非常に衝撃でした。
みんなが常識だと思って気にも留めていないこと、でもそれってホントにそうなの?という問いを突き付けて逃がしてくれない。
そんなお話なので、じっくり時間のある時に読んでみて欲しいです。
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